今回は、DIP Cephを日々の診療で活用されているヴェリ歯科クリニックの院長、田島圭先生にお話を伺いました。
一般歯科医として矯正治療に取り組む中で、DIP Cephがどのような役割を果たし、どのような変化をもたらしたのか、詳しくお聞きしました。
ヴェリ歯科クリニック 院長
田島 圭 先生
2006年に東京歯科大学歯学部を卒業後、新宿愛歯会デンタルオフィスで6年、虎ノ門天野歯科で約6年の勤務医経験を経て、2017年にヴェリ歯科クリニックを開設。一般歯科医として幅広い治療を提供する中で、患者さんに真に必要な治療の選択肢を提示したいという思いから矯正治療に取り組んでいる。
主な執筆・論文
・2025 クインテッセンス出版 矯正学術誌 JAO(journal of aligner orthoddontics )日本版 2025 No1
・2025 クインテッセンス出版 矯正学術誌 JAO(journal of aligner orthoddontics )日本版 2025 No2
包括的矯正治療における治療目標と治療計画の立てかた(後編)
骨格性Ⅱ級開咬症例を包括的矯正治療にて改善した2症例
田島 圭、綿引淳一
患者さんの選択肢を広げたいという思いから矯正治療へ
ーー本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。さっそくですが、一般歯科医である田島先生が矯正治療にも力を入れるようになったのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
田島先生:私自身、矯正治療を受けた経験があることが影響しています。それに加えて、勤務医時代の経験も大きいですね。当時勤めていた医院では、矯正を主訴として来院される方よりも、虫歯治療を目的に来られる方のほうが圧倒的に多かったんです。そうした患者さんの中には、複数の歯科医院を受診されても、似たような治療プランばかり提案されてきたという方が少なくありませんでした。
ーー似たような治療プランというと、どのようなものでしょうか?
田島先生:例えば、歯並びが悪く虫歯もある患者さんには「虫歯の歯を抜いてインプラントに」、前歯の突出が気になっている患者さんには「前歯をセラミックなどの差し歯で対応」といった提案です。
ーー田島先生から見て、そうした治療プラン以外の選択肢もあったということでしょうか?
田島先生:そうですね。前歯の突出があっても、矯正治療で歯を並べればいわゆる出っ歯も改善され、虫歯の部分は抜歯して整えることで歯並びもきれいになり、インプラントも不要になります。いわゆる「セラミック矯正」ではなく、矯正治療による解決です。
もちろん矯正治療には費用がかかりますが、このような治療プランは矯正治療でしか実現できないものです。だからこそ、選択肢の一つとして矯正治療の知識を持っておく必要があると感じました。自分が実際に施術できるかどうかは別として、そのように考えるようになりましたね。
欠かせない存在となったDIP Ceph
ーー田島先生にはDIP Cephをお使いいただいていますが、診療においてどのような役割を果たしていますか?
田島先生:もはや欠かせないツールになっています。例えるなら、荒波の航海に出る際に羅針盤や地図を持たずに出航するのは無謀ですよね。DIP Cephや他のソフトも使わずに、セファロ分析もせず、何の準備もなくぱっと見て治療を進めるというのは、やはり無謀な治療だと思います。そうした意味で、DIP Cephは地図のような存在です。
ーーそう仰っていただけることは大変光栄です。実際、操作感についてははいかがですか?
田島先生:非常に使いやすいと感じています。操作が簡単ですし、AIを活用していることもありますが、それだけに頼るのではなく、治療方針に合わせて細かく設定を行うこともできます。
ーーどのような場面で特に効果を実感されていますか?
田島先生:DIP Cephを使用して一番感じたのは、従来自分で行っていた分析に比べて、明確なゴール設定が可能になったという点です。
昨今、アライナー矯正や非抜歯矯正を希望される患者さんが増えていますが、もちろん非抜歯矯正の適応には限界があります。これまでは、具体的な数値を患者さんにお伝えすることが難しい面もありましたが、DIP Cephでは治療ゴールがビジュアル化されて設定できるた
め、「抜歯の場合はこうなります」「非抜歯の場合はここまで差が出ます」といったことを、数値や角度、トルクなどの具体的な設定でシミュレーションして提示できます。
例えば「何ミリ下げるとどのような変化が生じるか」といった点も、数値が明確に示されるため、格段に説明しやすくなりました。これは従来にはなかったことです。
ーーなるほど、ビジュアル化によって患者さんへの説明が大きく変わったのですね。先生ご自身の診療スタイルにどのような変化がありましたか?
田島先生:コンサルテーション(カウンセリング)において、このような根拠を示せることで、以前よりも自信を持ってお話しできるようになったと感じています。
また、私はアライナー矯正を行うことが多いのですが、アライナー矯正では各メーカーにオーダーを出す際、DIP Cephで設定した目標位置を目指したオーダーが可能になるため、利便性も大幅に向上したと実感しています。
矯正治療を学び始める先生方に最適なツール
ーーDIP Cephはどんな先生方におすすめだと思いますか?
田島先生:矯正治療を専門としていない歯科医師が矯正の知識を習得したいと考える際のツールとして、お薦めできると感じています。矯正歯科専門医向けというよりは、矯正治療の入門段階にある先生方ですね。
「高度な矯正治療は難しいが、どのように進めるのか理解したい」と考えている方々や、初めて矯正を学ぶ方にとって最適だと思います。DIP Cephは、大変扱いやすく視覚的にも分かりやすい構成なので、すんなりと理解が進む印象を受けました。
ーーそういった視点で感想をいただけるのは、とても参考になります。一方で、使いづらさを感じることはありますか?
田島先生:いえ、非常に使いやすく感じています。ただ、逆に信頼しすぎてしまうことへの懸念はあります。特に矯正専門の先生であれば見落とさないような点も、私たちは専門家ほど精通しているわけではないため、その点は注意が必要かもしれません。AIを過信してしまうと、思わぬ落とし穴にはまる可能性もあるかと思います。
ーー他社様の製品もお使いになっているとのことですが、DIP Cephとの違いは感じましたか?
田島先生:やはりDIP Cephならではの特長だと感じるのが、中切歯の位置決めです。中切歯を移動させ、下顎の中切歯の位置を決定した上で治療プランを考えるという流れは、DIP Cephが最も優れていると感じています。
ーーありがとうございます。DIP Cephの機能面で、改善の余地を感じる部分はありますか?
田島先生:2点あります。1つ目は、治療後のビジュアル化機能です。他社製品には整形シミュレーションのような機能があって、治療によって口元がどう変化するかを視覚的に見せられるんです。患者さんにその画像をお見せすると、反応がとても良いんですよね。DIP Cephにもそうした機能があると嬉しいです。
2つ目は、分析方法のカスタマイズ機能です。矯正にはさまざまな分析手法がありますが、それらを選択できる項目があるといいなと思います。
ーーなるほど。先生ごとにカスタマイズできると良いということですね。
田島先生: そうですね。矯正治療にも様々な手法がありますから、3〜4つ程度のモード選択ができれば、ユーザーの満足度もさらに上がるのではないでしょうか。
ーーありがとうございます。機能改善のために今後もぜひこのようなご意見を聞かせてください。本日は大変貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。
田島先生:こちらこそ、ありがとうございました。
今回の取材を通じて、DIP Cephの高い分析精度が、カウンセリングの質向上や治療計画支援に寄与していることを実感できました。
田島先生が「地図や羅針盤のような存在」と表現されたように、DIP Cephは患者様一人ひとりに寄り添う丁寧な治療計画に導く支援を可能にし、患者説明における説得力を大幅に向上させています。
また、治療後のビジュアライゼーションの機能強化や分析手法のカスタマイズ対応など、具体的な改善要望もいただきました。このようなご意見を受け止め、より多くの先生方にご満足いただけるツールへと進化してまいります。