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医療の現場にも働き方改革は必要?効率化と学びの両立を実現する方法とは

医療の現場は、患者さんにとっても、働く人にとっても「待ったなし」です。急変対応、夜勤、時間外、複雑な調整業務。やりがいが大きい一方で、忙しさが常態化しやすく、「これ以上どう頑張ればいいの?」と感じる人も少なくありません。

そんな中で注目されるのが働き方改革です。しかし医療の仕事は、単に残業を減らしたり業務を削ったりすればよい、というものではありません。患者さんの安全と治療の質は必ず守る必要があり、学び続ける専門職としての責任もあるからです。

だからこそ医療における働き方改革は、楽をするためではなく、質を守りながら持続可能にするための改革だと言えます。

本記事では、医療現場に働き方改革が必要な理由と、効率よく働きながら専門性を高めるための具体的な工夫を整理します。

働き方改革とは?

働き方改革は、一人ひとりの事情に合わせて多様な働き方を選べる社会をつくるための大きな取り組みです。平成30年に公布された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」では、主に次の3つを柱として制度が整備されました。

1つ目は、長時間労働の是正です。時間外労働の上限が明確に定められ、特別な事情があっても年720時間以内などの厳しい基準が課されました。また、有給休暇を年5日必ず取得させる仕組みも導入され、労働者の健康を守るために企業が労働時間を把握することが義務化されています。

2つ目に、柔軟な働き方の実現として、終業から次の始業まで一定の休息を確保する仕組みを広げる努力義務が設けられました。

3つ目に、雇用形態によらない公正な待遇の確保です。パート・有期・派遣など非正規労働者と正社員の不合理な待遇差を禁止し、企業には待遇差の内容や理由を説明する義務が課されました。

こうした流れは医療機関を含むさまざまな職場にも影響しており、医療現場でも働き方を見直す動きが進んでいます。

出典:厚生労働省 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律

医療現場で働き方改革が必要な理由

医療機関は忙しさや人員不足が重なり、個々の努力だけでは支えきれない環境になりつつあります。安全で質の高い医療を続けていくためには、働き方そのものを見直し、現場が健全に機能する仕組みづくりが欠かせません。

ここでは、その必要性を3つの視点から整理します。

理由①:忙しさは個人の努力だけでは解決しない

医療の仕事は責任が重く、真面目な人ほど「なんとかしよう」と抱え込みがちです。しかし、近年の医療現場は、事務作業の増加や業務の細分化、電子カルテ対応など、以前よりも業務量が確実に増えています。この状況では、従来のように「気合いと根性」で支える働き方には限界が訪れます。

無理を続ければ、疲労によって判断力が落ち、ヒヤリ・ハットやインシデントが起こりやすくなります。本来守るべき安全性が、個人の負担増によって揺らぐ可能性すらあります。

だからこそ、個人の頑張りに依存する運用から、組織として業務を最適化し、安全と品質を仕組みで支える体制へ移行することが必要なのです。

理由②:患者さんにとっての安全に直結する

医療は、集中力・注意力・チームワークが問われる専門性の高い仕事です。どれだけ経験豊富なスタッフでも、慢性的な疲労や睡眠不足が続けば、コミュニケーションが少なくなり、確認作業の見落としに繋がり、ミスが生まれやすくなります。

働き方改革は「職員のためだけ」と捉えられがちですが、実際には患者さんに安全で質の高い医療を提供するための重要な土台です。働く人が健全なコンディションでいることは、医療の質そのものに直結します。

理由③:専門性を高める時間が奪われている

医療者が成長し続けるためには、研修や勉強会、症例検討、振り返りの時間が欠かせません。しかし、現場の忙しさに追われるほど、こうした学びの時間が後回しになる傾向があります。日々の業務を回すだけで手一杯になり、スキルアップの機会が十分に確保できないという声も少なくありません。

その状態が続くと、経験年数は増えても専門性の深まりが実感できず、「ただこなしているだけ」という感覚が生まれ、成長意欲の低下や離職につながることもあります。

働き方改革は、単に負担を減らすのが目的ではなく、医療者が学び続けられる環境を整え、専門性を育てるための時間を確保する取り組みでもあります。

医療の働き方改革は「仕組みを整えること」から始まる

医療現場の効率化で重要なのは、現場のムダや摩擦を減らし、仕組みを整えていく小さな改善です。

ここからは、明日からでも取り組める実践的な改善策を6つ紹介します。大掛かりな改革がなくても、日常の整えが大きな変化につながります。

工夫①:「探す時間」を減らす

忙しい現場では、必要な情報がすぐに見つからず、思った以上に時間を取られてしまうことがよくあります。

  • 手順書の場所が統一されていない
  • 同じ検査でも、人によって注意点の説明が異なる
  • 申し送りのフォーマットが統一されていない

こうしたばらつきがあると、1日の中で数十分〜数時間の時間的ロスにつながります。
まずは、よく問い合わせが発生する情報を1枚に整理し、常に同じ場所に置くことが有効です。

例:よく使う手順書、薬剤の注意点、連絡先、チェック項目などを紙やデジタルで、決まった場所にまとめる。

このように情報を整理しておくことで、確認の手間が減り、現場の負担を確実に軽減できます。小さな改善でも、業務効率は大きく変わります。

工夫②:記録を短く正確にする

記録は医療の生命線ですが、長ければよいというものではありません。

  • 毎回ゼロから書く
  • 同じ表現を何度も繰り返す
  • 必要情報が埋もれて読み返しにくい

このような状態を放置すると、記録時間が増えるだけでなく、伝達の精度も下がってしまいます。テンプレート導入は、その両方を改善できるシンプルな方法です。

たとえばSOAPの見出しを固定し、「この症状ならこの聞き取り項目」といった定型を準備しておくことで、抜け漏れも減ります。

ポイントは、自由記載を減らすことではなく、大事な情報がひと目で分かる形に整えることです。書く側も読む側も楽になり、業務全体の流れが良くなります。

工夫③:「会議」を削るのではなく短く終える

会議が多い職場では、その分だけ現場の時間が圧迫されやすくなります。それでも会議をなくすことは現実的ではありません。そのためには会議の質を高める工夫が必要です。

  • 議題は事前共有
  • 結論を決める会議か、情報共有かを区別する
  • 終了時間を決める
  • 決定事項・担当・期限をその場で書く

この4つだけでも、会議が何となく集まる場から決定に進む場に変わります。

特に、議題を事前に共有しておくことは効果が高く、参加者が「あらかじめ考える」という習慣をつくるきっかけにもなります。短く、密度の高い会議にすることで、現場の稼働時間を確保できます。

工夫④:専門職から「手放せるタスク」を選ぶ

医療の現場では、専門職が本来の専門業務以外の作業まで抱え込んでしまうことが少なくありません。

  • 事務処理・連絡調整・物品管理
  • 定型資料の案内
  • 予約や紹介状の確認

これらの業務は、仕組み化や他職種との分担によって効率化しやすい領域です。しかし、すべてを一度に見直すのは現実的ではありません。まずは週に1つだけ「手放せるタスク」を選ぶところから始めるのが無理のない進め方です。

こうした周辺業務の負担が減れば、専門職は本来の業務に集中できるようになります。その結果、医療の質が上がるだけでなく、働く側の満足度も高まります。長期的には、離職防止や新人育成のしやすさを実現し、組織全体の安定にもつながるでしょう。

工夫⑤:引き継ぎを見える化へ

申し送りは、安全と効率のどちらにも関わる重要な業務です。口頭だけに頼ると伝達漏れや解釈違いが起きやすく、逆に文章が長すぎると読まれません。

そこで「短い型」を作るのがおすすめです。

例:

  • 現状(何が起きているか)
  • リスク(何に注意するか)
  • 次の一手(いつ、何をするか)

この型に沿って書くと、必要な情報だけが残り、共有が速く安全になります。新人スタッフからベテランまで同じフォーマットで話せるようになるため、コミュニケーションの質も安定しやすくなります。

工夫⑥:すれ違いを防ぐ「伝え方」と「プロセス」改善

働き方改革で見落とされがちなのが、日常のコミュニケーションの摩擦です。忙しいほど言葉が短くなり、誤解が増え、確認が増えるという悪循環が起きます。これが蓄積すると、効率だけでなくチームの雰囲気にも影響します。

摩擦を減らすポイントは、人物ではなくプロセスを主語にすることです。
×「あなたのやり方が悪い」
○「手順が人によって違うから、確認が増えて時間がかかっている」

こうした言い換えだけでも、話し合いが前向きになり、改善が進みやすくなります。責めるのではなく、仕組みの見直しにつなげる姿勢が、健全な現場づくりの第一歩です。

専門性を高める工夫──「学びを後回しにしない」仕組み

効率化で時間を生み出した後は、その時間をどう使うかが大切です。医療者にとっては、その時間を専門性を高める学びや振り返りに充てられるかどうかが、仕事の満足度にも大きく影響します。

学びを「イベント」ではなく「習慣」にする

勉強会や研修は有意義ですが、開催頻度や時間の都合で参加できないことも多く、「学び=特別なイベント」と捉えるほど継続が難しくなります。そこで、日常業務に馴染む短い学びを設計するのが効果的です。

  • 1日10分、症例やガイドラインの要点を読む
  • 週1回、チームで1つ「学びを共有」する
  • 新人指導の場を、ベテランの知識のアップデートにも活用する

短い学びは負担が少なく、取り入れるハードルも低いため自然と続けやすくなります。その毎日の積み重ねが大きな差につながります。「忙しくても学びが止まらない現場」は、成長を実感できる組織になりやすいのです。

「教える人」が報われる仕組みにする

新人教育は大切ですが、教える側に負担が集中すると疲弊や不公平感が生まれやすくなります。そこで、教える人が報われる仕組みを作ると、教育がポジティブに循環し始めます。

たとえば新人が同じ質問を繰り返す場合、本人を責めるのではなく、FAQや手順の見える化が不十分だと捉えます。

  • よくある質問をリスト化して共有する
  • 説明資料や動画を作り、何度でも見返せるようにする
  • 指導のたびに改善し続ける「育成のテンプレ」を作る

教える側の負担が減るだけでなく、教育の質が標準化し、新人も余計な不安を抱えずに済みます。さらに、教育する側もの理解も深まるという相乗効果も得られ、組織全体のレベルアップにつながるでしょう。

新たな一歩が、医療現場を変えていく

医療現場の働き方改革というと、大きな改革を思い浮かべてしまいまですが、最初の一歩はもっと小さな取り組みで構いません。無理なく続けられる改善を少しずつ積み重ねることで生まれた余白は、患者さんの安全や医療の質を支える土台となり、医療者自身が成長するための時間にもつながっていきます。

医療の現場にも働き方改革は必要です。負担を減らすだけの取り組みではなく、質の高い医療を未来にわたり提供し続けるための大切な工夫なのです。

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